
当時の地中海・イスラーム世界を知る重要文献
とにかく本書をよくで気になるのはアラーをたたえる語句の頻繁さ、バリエーションの多さであるが、おおむね合理的姿勢に貫かれた記述である。筆者の知識・教養の水準の高さがうかがわれるもので、当時の歴史・地理認識がうかがわれる。
グラナダ、アレクサンドリア、カイロ、メッカ、バクダード、ダマスクス、アッカ、シチリアの魅力あふれる街並みや文化が鮮やかに描かれる。当時の華やかなイスラーム文化を理解する助けとなる。美文調の原文を直接理解する能力は自分にないが、たいへん読みやすい訳文であるということは言える。